更年期と大豆イソフラボンの関係【大豆の健康利益と効果】

「畑の肉」と呼ばれる大豆にはたんぱく質以外に重要な成分「イソフラボン」が含まれています。

イソフラボンは大きく分けて3種類あり、「ゲニステイン」「ダイゼイン」「グリシテイン」がそれぞれ5:4:1の割合で大豆に含まれています。(1)

イソフラボンは女性ホルモンである「エストロゲン」と非常に似た構造をしているため、「植物性エストロゲン」とも呼ばれ、特に更年期でホルモン量が低下した女性の大体栄養素としても研究が進められています。

そこで今回は、注目を集めている大豆が持つ健康への影響を最新の科学研究結果から紐解いていきます。

大豆の持つ健康利益

「乳がん」と「前立腺癌」を予防する効果がある

ガンは日本人の死因のトップとなっている病気です。

いくつかの研究では大豆製品を食べることで女性の乳組織が増加することがわかっており(2,3,4)、これが乳がんのリスクを下げるのではないかという仮説が立てられています。

観察研究からも、大豆製品の摂取によって乳がんのリスクが実際に低下することが観察されています。(5,6)

同様に男性の前立腺癌のリスク低下にも大豆は効果があることが確認されていて(7,8,9)、これらの効果はイソフラボンやレクチン、ルナシンなどの成分によるものではないかと考えられているのです。(10,11)

またいくつかの研究からイソフラボンを若いうちから摂取することで乳がんの発生を遅らせる可能性も示唆されています。(12,13)



しかし、ここで注意して頂きたいのは、人間を対象とした研究は全て「観察研究」と呼ばれるデザインのもので、統計的な結果を述べているだけなので『大豆を食べている』=『ガンを完全に回避できる』ということではありません


更年期障害を軽減させる効果がある

更年期とは閉経後の女性に起きる一定の期間のことを指します。

血中のエストロゲン(女性ホルモン)レベルが下がることによって汗をかきやすくなったり、「ほてり」や「めまい」、「うつ」などの気分の浮き沈みなどの症状が起きます。

興味深いことにアジア圏の女性、特に日本人はこういった症状に悩まされる割合が世界的に低い傾向にあることが明らかとなっています。

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その理由はおそらくアジア人が高い頻度で大豆製品を口にしているためだと考えられており、実験からもイソフラボンが豊富な大豆を食べることによって更年期障害が軽減することが観察されています。(14,15)



しかし、大豆が全ての女性に効果的というわけではなく、大豆イソフラボンから「エクオール」という物質に変換できる特殊な腸内細菌を飼っている人にのみ効果があるのです。

この特殊な腸内細菌のキャリアは世界的に稀ですが、日本人の50%はキャリアーであることがわかっています。(16)



実験からも毎日135mgのイソフラボン(大豆でいうと68g)を摂取することで特殊な腸内細菌を持つグループのみ更年期障害が軽減したという結果が出ています。(17)

こういった研究結果から大豆イソフラボンを更年期障害の治療に使うことが試みられていますが、逆説的に考えると日本人の2人に1人しか効果がないということが言えるでしょう。(18)



そこで日本の製薬会社である小林製薬があらかじめ大豆をこの特殊な細菌を使って発酵させた「エクオール」という名のサプリメントを開発しました。



もしも、豆乳などの大豆製品を多く食べても更年期の症状が軽減しない場合は、大豆イソフラボンからエクオールに変換する腸内細菌を保有していない可能性が考えられますので、サプリメントを試してみることを推奨します。

私が調べた限りでは、エクオールを直接摂取できるサプリメントを開発しているのは小林製薬だけでした

骨粗鬆症のリスクを低減させる効果がある

osteoporosis骨粗鬆症は骨のカルシウム濃度が減り、骨折のリスクが高まる病気です。

大豆製品を多く取り入れることで更年期の女性が骨粗鬆症になるリスクが抑えられることも分かっています。(19,20)

これもイソフラボンの効果によるものだと考えられています。(21,22,23,24)


大豆を食べ過ぎることによる副作用

甲状腺機能の低下を引き起こす可能性がある

thyroid-gland甲状腺機能低下症の患者さんが大豆製品を多く食べすぎると、甲状腺の機能が低下してしまう恐れがあります。(25)

「甲状腺」は大きな腺の1つで成長や新陳代謝を制御している器官です。



動物実験からもヒトを対象に行われた研究からも大豆イソフラボンが甲状腺ホルモンが作られるのを抑える効果があることが確認されています。(26,27)



37人の日本人を対象に行われた研究でも大豆を30グラム、3ヶ月間食べ続けたところ甲状腺の機能が低下したことが報告され、症状として不安や眠気、便秘、甲状腺の肥大などが確認されました。(28)

別の研究でも軽度の甲状腺機能低下症の患者に2ヶ月間、毎日イソフラボンを16mg摂取させると10%に甲状腺機能の低下が認められました。

このイソフラボンの量は大豆でいうと8グラムにも満たない量です。(29,30)



しかし、その他の多くの研究結果からは統計学的な有意差が出るほど、深刻な甲状腺の機能障害に陥いるものは発見されていないので無視しても良いレベルであると考えられます。(31,32,33)


下痢やお腹にガスが溜まる可能性がある

大豆には他の豆類と同様に豊富な食物繊維が含まれています。

特に「ラフィノーゼ」や「スタキオース」という食物繊維は腸が過敏な人にとって下痢などを引き起こす可能性がある不溶性の食物繊維です。(34,35)

過敏性大腸症候群の方は注意するようにして下さい。


更年期と大豆イソフラボンの関係 まとめ

更年期障害にはイソフラボンが効果的だと言われていますが、これは「イソフラボン」から「エクオール」という物質に変化させる特殊な腸内細菌がいる方のみだということが分かりました。

もしも大豆を多く食べても症状が緩和しない場合は、腸内細菌がいない可能性が考えられますので、大豆を発酵させてエクオールに変換したサプリメントを積極的に利用するようにしましょう。